話し手の感覚から見る「否定疑問文」や「タグクエスチョン」の答え方

 ■Yes? No? なんとかならんものなのか 

Negative question、 否定形から始まる疑問文の答え方については
多くの方が「混乱する期間」を経験していくことと思われます。

私も、最初は激しく混乱して固まっていましたから、
かかずに済む恥を、鬼のようにかいてきました。
数知れぬ失敗の中から、「あ、そうか、そういうことか」と
カチッ! と納得した経験を、皆さんにお伝えしたいと思います。

学校や文法書では、否定で質問された場合、
答えに肯定文が続く場合は Yes 、
否定文が続く場合は No を置かなければならないので…、

などと、実は判別が難しいことをサラリと教わってきただけで
Yes と No が入れ替わるの?!その理由は? というところに触れてはいません。

でも、実は Yes と No が文法の約束ごとだから入れ替わる、というのではなくって、
話し手の見ている場所、注目していることが違うのです。
学校での勉強は試験に向けて忙しいので、
この事実を、しっかり納得しているヒマがなかったと思うんですね。

文法のルールで「覚えたこと」といえども、
「知っている」けれども「使える状態にまで至っていないもの」は、
とっさの反応が求められる会話では、ほとんど活躍してくれません。

何しろ会話はズンズン進んでいっちゃいますので、
こちらの頭の中で

……えーっと、否定形で聞いてきているときは、
Yes が No で、No が Yes だったよね、えっと、
えー、to be or not to be…… と固まっているうちに聞きなおされたり、諦められたり、
ハタマタ自分が開き直って「返事?それどころかっ(怒)」となりがちです。(ハイ、経験者)

でも、異国の言葉は、異国の文化。

ちょっとアプローチの仕方を変えてみて、
「へー、そうなんだ」という経験をしながらつきあっていけると、
ルールを覚えて、例外を覚えて除外して、と、一つ一つ追って行くより、
「ヤリトリの感覚」を早く掴めることも、あるんです。

 ■視点を変えれば簡単スッキリ 

日本語は、相手を敬うという姿勢が貫かれているので
やりとりが柔らかく、かつ、高度です。

たとえば質問をされたら、答えるときには、ごく自然に
「相手の意見」に焦点をあてますよね。

日本語の会話例)
あなた、まだ食べ終わっていないの?
(ええ、おっしゃるとおり)→ハイ、まだなんです。

この、「ハイ、まだなんです」を分解すると
「ハイ(あなたの言うとおり)」   +  「まだなんです」
=相手の意見に返事 + 自分の状態

というように、一瞬にして、
1)相手が提案してくれたことについて同意の返事をし、
続けて
2)それから自分の状態を言う、
…というかなり高度な返事を、無意識でしているのです。

これに対して英語の会話例は
Haven’t you finished eating yet?
No, I haven’t.
「あなた、まだ食べ終わっていないの?」
「いえ、私はまだ」
=自分のことしか見ておらず、返事も自分のことだけです。

質問を受けたら、自分の状態を述べることだけに集中しているんです。
…ここがポイントなんです。もう一回かいちゃおう。

英語では、返事は自分のことを告げることに集中
これが基本の姿勢、であります。

図にしてみました。

オンタノは私が運営しているメインのブログです・よろしかったら遊びにいらしてくださいね

自分のことじゃなかったとしても、
日本語のやりとりだと、
「雪って赤くないよね?」って言われたら、
「うん(←アナタの言うとおり)、赤くないよ(←自分の意見、雪のこと)」
自然に、相手の意見に同意+雪のこと
…となりますが、

英語だと、
Snow isn’t red, is it?
No it isn’t!
「雪って赤くないよね?」
「うんにゃ、雪は赤くないよ」
 ↑と、雪は赤くない。
と、自分の見識を答えているだけです。
(空から落ちてくる雪をしたから見るとピンクですけどね…)

こんな風に、
日本語では、相手の意見に同意してから自分の告げたいことを言うけれど
英語では、質問に答える時は、自分の告げたいことに注目し
「自分の意見や状態だけ」を言う。

……この特徴を納得できると、否定疑問文で質問されたときも、
文法で示されているルールを思い出して、
それにあてはまる形を探すために、悩まずにすみます。

基本はとにかく、質問されたら、形はともかく、とにかく「自分の思うことを言えばいい」、それだけですから。

ではちょっと例文を見てみましょう。
Is snow green?
No, it isn’t.
Isn’t snow green?
No, it isn’t.
Snow is green, isn’t it?
No, it isn’t.
Snow isn’t green, is it?
No, it isn’t.

英語式の答えを日本語で見てみると、相手に対してはそっけない感じがしますよね。

「雪って緑?」→「緑じゃないよ」
「雪って緑じゃないよね?」→「緑じゃないよ」
「雪って緑だよね、違う?」→「緑じゃないよ」
「雪って緑じゃないよね、それとも?(直訳風です)」→「緑じゃないよ」、

練習をしていくにしても、
普通の疑問文、タグ疑問文、否定疑問文、
相手の質問がどーんな形でも、
返事は自分の思うことダケ言えばよい
、と思うと、
毎回キーッと悩まずに、「そかそか、自分の思うことだけね」と
一本、道ができやすくなると思います。

そう、相手がどう出ようと、自分の思うことですから、答え方は一つ…。
♪答え~は一つ、地球もひっと~つ、オーガッチャマーン、ガッチャマーン♪
↑投げ飛ばしてくださって結構です。

 ■では、どうやって慣れていくか、について 

仕組みを納得して慣れれば良い、
あとは掛け算の九九くらいにポンポン、と言えるようにしておけば良い。
母国語で慣れ親しんだ思考回路を変えて行くには、繰り返し練習が必要かつ有効……

……これはまさしく王道です。

王道ではありますが、
「そういうことを軽く言うけれど、どうやって練習して、
慣れたらいいんだ、そこで行き詰ってイヤになっちゃう!」
……と思う方もいらっしゃいましょう。無理はありません。

そこで、このヤリトリに慣れるまでの、ご提案。
“YES” “NO” を使い分ける、というアプローチを、
ひとまず横に置いて「自分の意見だけを述べる」英語のクセに集中します。

なにしろ母国語で使い込んでいるし、礼儀として大事なことという扱いもあるので、
“YES” と「はい、アナタのおっしゃるとおり」の絆は強い。
そこで、”YES” を省いて「自分のことだけを伝える」に集中していく練習です。

この練習の素晴らしいところは、
会話ですぐに使えちゃう、ってことでしょうか。

普段の会話の中では、相手はこちらの意見・状態を知りたいだけですから、
“YES” “NO” を省いて、
自分の意見だけを言ったって、なーんの問題もありません。

テストでこれをやっちゃいけませんが
そもそも「お喋りのミッション」は、
相手の状態を知りたい、自分の状態を告げたい、に根付いているもの。

文法どおり、お手本どおりに答えなくたって、
「とにかく相手にわかって欲しい」という態度は、
始めの一歩を出す時には特に、とっても大事な勇気です。

Yes, No を取り除いて、自分の見解だけ返事をする練習は、
……侮るなかれ、ギューンとシナプス伸ばしてくれるハズであります。(ハイ、経験者)

Haven’t you finished eating yet?
“YES” や “NO” を省いて自分の意見に集中。
 まだ食べ終わっていなかったら
  →I haven’t. ←自分の状態
 食べ終わっていたら
  →I have. ←自分の状態

Can’t you run faster?
“YES”> や “NO”> を省いて自分の意見に集中
 私には無理。
  → I can’t. ←自分の意見
 速く走れるなら
  → I can. ←自分の意見
 速く走りたくないなら
  → “I don’t want to!” なんかもアリですよね。 

You don’t know Uroco, do you?
“YES” と “NO” を省いて
 知らないなら
  → I don’t ←自分の意見
 知っていたら
  → I do. とか I konw her. ←自分の意見

自分自分自分自分、っていっぱい出てきましたが、
「英語では、質問されたら自分の状態・意見を述べることに集中する」
というのは、愛しき母国語とはちょっと違うフォーカスが必用ですから
これは、けっこうなシナプスの柔軟体操になるはずです。

 ■気づいた瞬間・裏話 

私は英語をヨチヨチと使い始めたころ、
あちこちを放浪していたので、
英語圏の人たちとルームシェアをしていた時期があります。

日常生活の中で飛び交う、Negative question が出てくると
えーっとだね、ハイが No で、イイエが Yes で、「キーッ!!」となって
食べたいものも食べられなかったり、おなかいっぱいなのにおかわりが出てきたり、
「で、結局、 Yesなの? Noなの?」 って、何回聞かれたことでしょう。

こらイカン、と勉強をしなおそうとしたんですが
しかしこれまた、私の脳みそは記憶を拒否するがごとく、
覚えてくれなかったんですねぇ。困ったもんです。
そして文法書とは、物理的に格闘(時々壁に投げつけたり、ギーッとねじったり)するハメに。

でも、ある日、私が文法書を憎たらしく思って捻っていたら(愚)
ルームメイトの一人が
「日本語って、相手を尊重する言語だよね。うらやましいな。
 私たちは質問されたら、自分のことを言うのに忙しくって、
 相手の意見まで考えないもん。
 なんか思いやりがあって、素敵な文化だ」
…と、いうようなことを言ってくれたんです。ああ、心が広くて優しいお嬢さんでした。
肩に大きな、ハリツケにされたジーザスの Tatoo があってビビリましたが(汗

その彼女の発言を聞いていて、
「英語は質問されたら、自分のことだけ答えるのか…」
「するってぇと、答えている対象が違うのか…」
「………………」(長考)

「!」

「そうかッ!考え方そのものが、違うんだ!」
…と、今日ご紹介した図のような物が明滅しまして
脳みそのシナプスが、
ズビビビズバババッ!と言う感じで繋がって
ようやく電流が流れ始めたような、そんな実感をしたんです。
いきなり抱きつかれたルームメートは驚いていましたが(汗

それまで「文法のルールを覚えて、きちんと使い分けること」しか
頭にありませんで、(それ自体に悪いことは一つもないのですが)
私の場合、文法の勉強がそもそも苦手だったもんですから、
「わからないから出来ない」を抜け出したは良いけれど、
「アタマではわかっているのに出来ない」の迷路に入り込んでいただけでした。

でも、そこでようやく、
そうよね、言葉はコミュニケーションの道具だもんね、
性格によって話し方が違うように、
文化によって使い方が違うのもアリだよな、とすごく楽になったんです(^^)

これが、Yes が No でえーとえーと、の地獄から抜け出す一日でした。
もちろん練習は必要でしたが、ワカラン!キー!ではなくて、
パパっと答えが出るまでの慣れなのだ、と腰が据わった瞬間ともいえましょうか。

その後、日本語風に答えるときに出るニュアンスの優しさを活かして、
あえて相手の意見に同意してから自分のことを告げようと思うときには、
You are right, とアタマにくっつけてから、
自分の意見を言う、なんていう風に、
アレンジすることにチャレンジしたりできるように。

 ■じゃあ、練習してシッカリ自分のものにしてしまいましょう 

なにしろ言語は原始的なものですから、
練習なくして、自分のものにはなりにくい。
…お時間のある方はぜひ続けてどうぞ。

何をするかと言うと、
ヤリトリに慣れるまで、
“YES”“NO” の使い分けは省いて、自分の意見だけを言う練習です。
“YES” と「はい、アナタのおっしゃるとおり」の絆は強いので、しつこく行きます。

Don’t you like chocolate?
好きじゃないですか、チョコ。自分は、チョコが好きか嫌いか。
ごく少ない単語での返事例(I don’t. / I do!)文が続く人はいくらでもどうぞ

Haven’t you studied English for a long time?
長く勉強してきたか、してこなかったか。
例 (I haven’t. / I have. などなど)

Didn’t you hear the phone ringing?
聞こえなかった。聞こえた。どっちでした?
例 (I didn’t. / I did. などなど)

You don’t like fish, do you?
魚が嫌い。魚が好き。自分の好みを。
例 (I don’t. I hate it! / I do. I love fish! などなど)

You don’t swim, do you?
泳がないよね、泳ぐ?どうですか、泳ぎますか。これも自分の状態にフォーカス。
例 (I don’t. / I do. などなど)

ブラボー!
お疲れさまでした(^^)

日常生活では、“YES”“NO” を省いても、
自分の意見だけ伝えてあげられれば、会話の相手は安心しますし
会話は成立しますから、すぐに使いながら、
続けていくと、ポンポン、と答えられるようになってきます。

さて、できたら、記事中の図をもう一度見てみてください。
しつこいほどの練習をした後ですから、
あ、そうなのね。自分のことだけに集中して、意見を述べているわけね。と、スッと納得しやすくなっているはずです。

自分が答えていることが肯定なら、肯定であることを告げる合図として YES、
否定しているなら、否定であることを告げる合図として No、こんな風にとらえると
さらに納得しやすくなるかもしれません。

英語の文章は、
「誰がどうした」
「私はこうだ」という感じで、ズバッと来るので奥ゆかしさに欠けますが、それが特徴でもあります。
ですから、質問されたら、どんな形の質問を受けても、とにかく自分の意見を言うことに集中。というのも、
大きな特徴の一つと納得してしまった方が早いわけです。

母国語を自由に使える私たちは、ついつい、
母国語の持つ全てのルールを他の言語にも適用しがちですが、
異国の言葉は、異国のカルチャー。

焦点を合わせる場所や、アプローチをする角度なんかも違うんだね、と
ロマンを味わって楽しんでみてくださいませ。