Flap T

米語では、ときどき T の音は flap t として発音されます。
普通の t は、舌を上あごにくっつけて、息をそこでせきとめて、
「Tッ!」という感じで、息をはじき出してつくる音です。
(参考記事→ T の音
これに対して“flap t” は、舌が優しく上あごをタップするように作る音です。

このため、息を強く出して出す t の音よりも、どちらかと言えば、d に似た音になります。
とはいえ、素早くつくるこの音は完全な d の音ではないので、日本語に慣れている私たちには、
「ラリルレロ」に近い音で聞こえることも多いでしょう。

・flap t (flapped t)
アメリカ英語で flap t が使われるときは、
・t の前後の音が母音で(T は母音にサンドイッチ)されていて
・その音にアクセントがついていない(強調される音ではない)ときに、使われます。

この法則によって、
bottle の t は、パタパタと素早く発音する D のような flap t 音になりますが、
hotel の t はそこにアクセントを持ってきて発音するので、基本の t の音になり、flap t にはなりません。

実際に練習が出来る動画はこちら:

Jeniffer 先生が動画の中で、
“da” の音を出して、それをだんだん早くしていく…
dadadadadadadada、という練習をしてくださいます。

本来の d よりも、
吐き出す息も少なめ、舌が上あごをタップするのもほんの一瞬、
アタアタと次の音に移動してしまうので、「大慌てな d」という感じ、と
捉えるとよいかもしれません。

もしくは、日本語でダダダダダ、と言いながら、
だんだんと舌の力を抜いていくと、ララララ、と、
ちょっぴり舌たらずなラ行に近くなっていきますよね。
しっかりしたダでも、しっかりしたラでもない、
ダとラのどちらにもつかぬ、中間あたりの音、と理解されるのも良いでしょう。

それが、 flap-t がラ行に聞こえることがある理由の一つです。

ただ、このように中途半端な音ゆえに、
完全に日本語のラで代用すると、それはまた、別の音になってしまいます。

たとえば、アメリカ英語では、
「ウォーター」とカタカナの音で言ってしまうと
よほど観光客に慣れた人でないと、通じません。

「ワーラ」と言えば通じるよ、という
「掘った芋いじるな」(what time is it now)系の方法もありますが、
実は、これも現実には、なかなか厳しい場合があります。

なにしろ、誰かが「日本語で言うなら、この音」と判断してふったフリガナは、
既に一度「強いてカタカナで言うとしたなら、この音かなぁ~~」という妥協の末、
日本語用に整形されているもの。

(本来の音を聞かないで)、誰かの妥協の末カタカナになった音を、
日本語として忠実に発音してしまうと、
実際の「英語の音」からは、さらに離れてしまうキケンがあるのです。

ただし、オンライン辞書や Youtube のネイティブ英語講師が提供している音、
それから生の会話などを聞いて、自分なりに「これが近いな」と、
自らふりあてたカタカナ… これは学校で教わってしまった「ローマ字読み」の矯正に役立ちます。

ですので、誰かがふったカタカナのフリガナと出会ったら、
ぜひ、一度はナマの音と聞き合わせてみること…そして、必要があれば調整すること…この一手間が、後でラクチンになるコツです。

さて。
“flap t” に話を戻しますと
実際に自分が発音をする場合は、 “flap t” を使わなければいけない、ということはありません。
(ブリティッシュ英語を使う方々は、 “flap t” を避けることも多いのです)

ただ、アメリカ人との実際の会話の中では良く使われる音ですので、こんな風にして出しているんだな、と
覚えておくのは、特にリスニングには大いに役に立ちます。

“flap t” で発音する場合は、t の前のアクセント部分を、
思い切り強く大げさなくらいに音を出すと良いでしょう。
息の勢いが足りないと、素早く次の音に移行することが難しく、
flap t のところで、つまづくような感じを味わうかもしれません。
一気に、慌てて、ぞんざいな感じでサラリと言ってしまうのが flap t の特徴の一つでもあります。